
人気ゲームソフト「ドラゴンクエスト」第1作の発売から27日で38年。シリーズを手がけるスクウェア・エニックス(スクエニ)が岐路に立たされている。売り出すゲームタイトルの数に対して利益が伸び悩んでいるためだ。同社は再成長へ向けて「量から質」への転換を打ち出した。
ソニーグループの「プレイステーション」などのゲーム機に向けたスクエニの家庭用ゲームソフト事業は、2024年3月期は81億円の営業赤字だった。家庭用ゲーム用などの一部タイトルの開発を中止し、約220億円の「コンテンツ制作勘定の廃棄損」を計上したことが響いた。「資産」として積み上げてきた開発費を損失として扱った。開発を続けるタイトルについても販売想定を下方修正。減損損失は計388億円に及んだ。全体の純利益は前年比69.7%減の149億円にとどまった。
スクエニは、ドラクエのほかファイナルファンタジー(FF)といった大型タイトルを持つ。しかし、家庭用ゲーム機の進化に伴い、高画質なゲームソフトづくりの開発費が重荷になっていた。開発中のゲームの資産価値といえる制作勘定は22年3月期で967億円に膨張。発売に至らなければ多額の損失につながるリスクを抱えている。
21年の「ドラクエの日」には、最新作の第12作目のタイトルが発表されたが、3年経っても発売日は決まっていない。業績不振によりネット上では開発を危ぶむ声も出ていたが、ドラクエの「生みの親」とされるゲームクリエイターの堀井雄二氏は27日、自身のX(旧ツイッター)で制作が続いていることを明らかにした。キャラクターデザインの鳥山明さんと音楽担当のすぎやまこういちさん(ともに故人)を念頭に「お二人の遺作に相応(ふさわ)しいものを思っています」とつづった。
持ち株会社スクウェア・エニ…