新酒の出来栄えを競う全国新酒鑑評会(2023年7月~24年6月)の審査結果が22日発表され、山形県内の蔵元から14銘柄が金賞を獲得した。都道府県別の金賞受賞数は全国3位で、昨年に続く2年連続日本一とはならなかった。
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日本酒の製造技術と品質の向上のために独立行政法人酒類総合研究所が開催し、全国規模の鑑評会としては唯一となる。今回は全国から828点が出品。2段階の審査を経て392点が入賞し、このうち特に優秀と認められた195点が金賞に選ばれた。
県内の金賞数は14銘柄で、1位の兵庫県(19銘柄)、2位の福島県(18銘柄)に続き3位だった。
「予想していた範囲ですね」
県内の酒蔵の技術指導に長年当たってきた県酒造組合の小関敏彦・特別顧問は冷静に受け止める。
昨年は27銘柄が入賞、うち20銘柄が金賞を得て日本一となった。14年には福島と並んで1位となったが、単独での日本一は04年以来、19年ぶりの快挙となった。要因の一つとみられるのが、県の酒造好適米「雪女神」が多くの銘柄で使われたことだ。大吟醸、純米大吟醸クラス用に開発され、繊細な味わいが評価されている。
近年、秋田など一部の県でも地元で開発した酒米で出品酒を醸す動きが広がっていて、金賞数の上位に食い込むようになってきた。
ただ、今回は昨年の猛暑の影響を受けたという。「庄内地区を中心に雪女神の品質が低下する傾向があったのに比べ、(代表的な品種の)山田錦の出来がよかった」と指摘する。その結果、例年、山田錦の割合が多い兵庫がトップに躍り出たとみる。
一方で、上位10位に福島、山形、秋田、宮城の4県が入り、東北の酒が存在感を見せた。「東北6県で頑張って、全体で1位を目指そうとずっと話してきて、結果も出ている」と語る。
吉村美栄子知事は定例会見で「残念だが、来年は1位奪還ということで頑張って欲しい」と述べた。(高橋昌宏)