藤本渚五段、山下数毅三段に勝って6組優勝「相手が自分で無ければ、山下君を応援していた」【第37期竜王戦6組ランキング戦決勝】=佐藤圭司撮影
将棋の第37期竜王戦(読売新聞社主催)の6組ランキング戦の決勝が21日、関西将棋会館(大阪市)で指され、現役最年少棋士の藤本渚(なぎさ)五段(18)が、棋士養成機関「奨励会」の山下数毅三段(15)に132手で勝利。同組での初優勝を果たし、藤井聡太竜王(21)への挑戦権を争う本戦進出を決めた。
終局後、藤本五段は「うれしいです。すごく注目された対局だったので、結果を出せて良かった」と話した。
一方、敗れた山下三段は本局を「序盤は想定している展開から外れて、ちょっと苦しそうだったのが、なんとか盛り返してきたかな、といったところで、急に悪くなってしまって。良い勝負になりそうだったので、残念です」と振り返った。
仮に山下三段が今回、優勝していれば、プロ棋士と認められる四段へ昇段(ただし、順位戦は指せない『フリークラス』への編入)する権利を、ほぼ手中にするところだった(別に、今回の三段リーグで勝率2割5分以上が必要)が、優勝を逃し、惜しくも実現しなかった。
山下三段は、第73回の奨励会「三段リーグ」で棋士となる成績上位2人に次ぐ「次点」を取り、竜王戦6組への出場資格を得ていた。
プロになるには通常、三段リーグで上位2人に入るか、次点2回獲得(この場合はフリークラスへの編入を選択する権利が与えられる)することが必要だが、6組で優勝した奨励会員には三段リーグの次点が与えられる規定がある。
このため、今回優勝していれば山下三段は次点2回となり、現在、参加している三段リーグで降段点(勝率2割5分以下)を取らないという条件付きで、今回の三段リーグ終了後に、フリークラスの棋士になる権利を得るところだった。(佐藤圭司)