第47回全国高校ハンドボール選抜大会の男子で初優勝した駿台甲府高校(甲府市)で、チームの礎を築いたのは八田政久総監督(60)だ。9年前に指導の一線から退いたものの、実家を改装した下宿で、いまも部員の生活を見守り続ける。
3月29日の決勝戦。接戦の末、34―32で茨城県の強豪・藤代紫水高校を下すと、選手たちが八田さんのもとに駆け寄った。「先生、お願いします」。胴上げで3回宙に舞うと、教え子との思い出が駆け巡り、思わず号泣した。
「できるまでやらせる」から個々に合った指導へ
八田さんは甲府市出身。中学でハンドボールを始めた。中学、高校では県大会優勝はかなわなかったが、筑波大時代にインカレ優勝を経験。1987年に駿台甲府高校の保健体育教諭となり、ハンドボール部の監督にも就任した。自身はかなわなかった、山梨のチームとして全国制覇する夢を追うことにした。
だが、当時のチームは1、2戦目での敗退が続いた。
県内をまわって有望選手の勧…