資材価格の高騰を理由に公共事業を見直す動きが広がっている。東京都北区は4月、区内最大のコミュニティー施設「北とぴあ」の改修計画をいったん白紙に戻すと発表した。物価を押し上げる要因となる円安が続く中、公共事業は今後、減っていくのか。建設業界に詳しいみずほリサーチ&テクノロジーズの主席コンサルタント、小林敬幸氏に聞いた。
――公共事業の見直しはやむを得ないことでしょうか。
「この4年間で、鉄筋や鋼管、鉄骨といった建設資材で多く使われる鋼材の価格が50~70%くらい上がっています。電気や空調、エレベーターといった設備などの品目も値上がりしています。コロナ禍における供給不足や、ロシアによるウクライナ侵攻などでエネルギーや資源の価格が上がり、円安が輸入価格の高騰に拍車をかけているためです」
――資源価格の高騰が収束したり、円安に歯止めがかかったりすれば、落ち着くのでしょうか。
「いえ、工事費を大きく膨ら…