京都のアンティーク着物店で購入した羽織の裏地=筆者提供

 インド系の友人からホームパーティに招かれ、玄関扉を開けるとまばゆいサリー姿に出迎えられた。普段はずっと同じ毛玉だらけのスウェットなのに、ちょっとしたハレの日に金銀刺繡(ししゅう)の民族衣装をまとった彼女は、特注の鎧(よろい)を身につけた戦士のようにカッコよかった。私も私に合う強い戦闘服が欲しい。四十歳から着物を始めたのは、そんな理由だった。

 最初に買い揃(そろ)えたのは綿麻デニム素材の単衣(ひとえ)で、あとはもっぱらネット通販で古着や小物を漁(あさ)っている。ニューヨークで着付け教室に通い、国籍さまざまな着物愛好家たちと親しくなった。五百円から買える素敵なヴィンテージを着るのに忙しく、今のところ反物から新品を誂(あつら)える予定が無い。犬猫の保護活動に似ているな、と思う。飼い主を失った途端ズタズタに殺処分されてしまう命があるのなら私が引き取ろう。血統書なんか要らないよ。

 断髪のフェミニストなのにそ…

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