経済安全保障に関わる情報を保全指定し、国が信頼する人にのみアクセスを認める法律が成立した。政府は、国際的な信用が高まりビジネス拡大につながると主張する。だが、「何が秘密かすら秘密」などと批判されてきた制度のあいまいさは解消されていない。最前線を担う企業の対応もこれからだ。
新法が成立した10日の参院本会議。採決前の各会派による討論では、不思議な光景が広がった。賛成に回ったはずの野党側から、法律の「不透明さ」に関する苦言が相次いだのだ。
「重要経済安保情報に指定される情報の範囲すら明確になったとは言い難い」(立憲民主・塩村文夏議員)
「運用基準に明記するなどの政府答弁が多く、国会で詳細な議論ができない」(国民民主・竹詰仁議員)
米国と中国の覇権争いを機に、日本の経済安全保障への対応が迫られる中、制度の必要性には理解を示す声が多く、新法は大きな混乱もなく成立に至った。ただ、機密を議論するという難しさを前に、議論が深まらなかったのが実態でもある。
参院では、保全対象に指定す…