古波蔵契さん
  • 写真・図版

 設備の整った工場でパイナップルを加工する女性たちや笑顔の子ども、買い物客でにぎわう商店街……。米国統治下の沖縄で、米軍の心理作戦部隊が無償配布していたプロパガンダ誌「守礼の光」(1959~72年)。そこには、街の発展や暮らしの活気を伝える数々の写真が掲載されている。

 『「守礼の光」が見た琉球 ―写真が語る― 米軍統治下のプロパガンダ誌は沖縄をどう描こうとしたか』(ボーダーインク編集部編、2640円・ボーダーインク)は、こうした写真を冷戦や教育、文化・娯楽といった七つのテーマに沿って抜粋、再構成した書籍だ。監修者として、注釈やコラムも執筆した歴史社会学者の古波蔵契さんに、今この雑誌を読み直す意味を聞いた。

 「米軍は、文化や歴史が違っても『近代化』という共通の理想を追うことができるはず、というメッセージを広めた。この雑誌は米軍の『理想の沖縄』の進捗(しんちょく)記録のようなところがあります」と話す、古波蔵さん。

 なぜ米軍は「近代化」を重視したのか。ポイントとなるのは、1959年という雑誌創刊のタイミングだという。

 50年代後半、沖縄では米軍…

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