
ダンサーのDAIKIさん(30)は、NHK大河ドラマ「光る君へ」で、俳優デビューしました。安倍晴明の従者・須麻流(すまる)を演じ、表現者として、新しい一歩を踏み出しました。大学の卒業式10日前に、内定が取り消されたとき、相談した大学のダンスの恩師のひとことが、いまにつながっていると言います。
野球が好きで、運動神経には自信があった。一生懸命ごはんを食べたが「背が伸びない」。小学4年生のとき学校のパソコンで調べ、自身の病気を知った。
夢中になったストリートダンス
身長128センチ。遺伝子の変異で骨の成長が妨げられる、「軟骨無形成症」という約2万人に1人の国指定難病だ。
「どうして、教えてくれなかったんだ」
詰め寄ると、母は言った。
「『病気だから』と諦めず、いろんなことに挑戦してほしかった」
でも「なんで、オレだけ」と受け入れられず、グレた。
中学の不良仲間と学校の廊下で授業をさぼっているときだった。仲間の1人が、滑らかなムーンウォークや、軽快なシーウォークのステップをみせてくれた。「かっけー」。怒りや抵抗などの感情を表すストリートダンスに夢中になった。
夢もなく腐っていたとき、「見捨てられるわけないだろ」と言ってくれた中学の担任に憧れ、教師を目指した。
初めてステージに立ったのは、ボーカル&ダンスユニットの1人として参加した高校の文化祭だ。ステージの上から見たとき、観客の視線が「変なもの」を見る目ではなく、パフォーマンスを純粋に楽しんでいることに、気づいた。
踊っているときが一番自由になれる
大学の身体表現の授業で、未経験者も交え作品を作り上げた。授業を担当したダンスの女性の先生から、みんなで創作ダンスの大会に出ようと誘われた。何度も声をかけてくれたが、「自分がミスをすれば目立つ。迷惑をかけたら申し訳ない」と断った。
すると、「迷惑をかけると思…