
JR牟岐線の徳島―牟岐間を結ぶ特急むろとが、JR四国の15日のダイヤ改定に伴い、姿を消した。ラストランとなった14日夜、徳島駅では多くの鉄道ファンらが最終列車を見送った。
むろとは国鉄時代の1962年、高徳、牟岐線の準急として誕生。愛称の由来は、かつて国鉄として、牟岐から室戸(高知県)を経由して後免(同)まで結ぶ四国東部循環線の計画があったことにちなんだとみられる。
66年には急行に格上げされたが、JR四国発足翌年の88年に他の急行に統合され、一度は姿を消した。99年に牟岐線を走る特急として復活した。最盛期の2006~12年には徳島―牟岐・阿南間に計5往復運行された。
しかし、利用客の減少で便数は減り、徳島―牟岐間に最後に残った1往復は徳島方面への通勤客向けに運行していた。それでも24年4月の平日1便平均の利用客は阿南―牟岐間が10人程度、徳島―阿南間は20~40人程度にとどまっていた。むろとの廃止によって、牟岐線を走る定期の特急列車はなくなった。
この日夜、徳島駅では多くの鉄道ファンらが、入線したむろと1号を撮影。午後7時33分、三谷道弘駅長の出発合図で発車した。
母親と訪れた徳島市の小学校1年生伊勢敢太さん(7)は「国鉄色の緑のラインが好きだった。乗ったことがあるので、なくなるのはちょっと悲しい」と話していた。兵庫県丹波篠山市から訪れた団体職員稲岡大晟さん(23)は「夕べ海南に泊まって朝の2号に乗ってきました。1号は指定券が取れたので、最後の旅を楽しんできます」と話し、列車に乗り込んだ。
同社はダイヤ改定で、岡山に直通するうずしおを廃止するほか、徳島線の剣山、土讃線のしまんとなど特急11本を減らす。一方で、予讃、土讃、予土など各線に毎時決まった時間に発車する「パターンダイヤ」を導入・拡大し、利便性の向上を図る。