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愛知県庁

 新型コロナウイルスの診療体制を整備する国の補助金を不正受給したとして、愛知県は14日、今村洋史元衆院議員(63)が院長を務める「いまむら病院」(同県一宮市)に対し、補助金の交付決定を取り消したと発表した。県は、補助金の全額にあたる計約17億6500万円を返還するよう求めた。

 県によると、いまむら病院は2020年度~23年度、ウイルスが病室外に漏れないようにする「簡易陰圧装置」を整備したり、病院内の消毒を業者に委託したりしたとして、県から補助金を受け取った。だが、実際には装置は納入されておらず、病院側は虚偽の納品書を県に提出。消毒についても、支払額を水増しした虚偽の請求書を提出していたという。

 昨秋、会計検査院が指摘して発覚した。県の調査に対し、病院側は必要な資料の提出を拒否。県は計10回督促したが、病院側は「担当者が体調不良」などとして対応しなかったという。

 県は関係者への聞き取りなどから、少なくとも約4億5千万円の不正受給があったと認定。その他についても、物品の所在が分からないなどとして、交付した補助金の全額を返還要請することを決めたという。詐欺容疑で愛知県警に刑事告発することも検討しているという。

 県の対応を受け、今村氏は「今月中に全額返納を致します」とのコメントを発表した。

 今村氏は2012年の衆院選で日本維新の会から立候補して初当選し、1期務めた。昨秋の衆院選では、東京9区から自民公認での立候補を模索したが、派閥裏金問題で公認を得られず出馬を断念した。

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