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春闘の妥結状況が書き込まれたUAゼンセン本部のホワイトボード=2025年3月13日、東京都千代田区、片田貴也撮影

 流通や外食、繊維などの労働組合でつくる産業別組織のUAゼンセンは13日、今年の春闘の平均賃上げ率(1次集計)を発表した。定期昇給と基本給を底上げするベースアップ(ベア)を合わせ、パート従業員の賃上げ率(時給)は6.53%だった。1次集計時点では昨年の6.45%を上回り、2012年の産別結成以来、最高となった。

 パート従業員については95組合分(約50万人)、正社員については139組合分(約26万人)を1次として集計。正社員の賃上げ率は5.37%で、昨年の1次集計の5.91%から下がった。このうちベアは、明確にわかる107組合で3.75%だった。全体の139組合のうち46組合が満額、14組合が労組の要求を上回る回答だった。

 ゼンセンはパートなどの短時間労働の組合員が約6割を占め、雇用形態による賃金格差の是正が課題となっている。1次集計時点のパートの賃上げ率は、正社員を9年連続で上回った。永島智子会長は会見で「背景には人手不足がある」と指摘。「早期に高い水準の満額回答が出たことで、高水準の賃上げと格差是正の加速に向けた流れを作り、格差是正は前進した」と評価した。

 人手不足がより深刻な地方でも、高い水準でパートの賃上げが実現した。スーパーをみると、地方に多く出店するイオンリテールが7.07%で妥結したほか、首都圏や関西で展開するダイエーが7.08%、関東で展開するヤオコーが9.51%など高水準での妥結が目立った。

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