
暑い夏の日だった。
「漫画読んでんじゃねえ、出てこい!」
トイレの外から、母親たちの怒声が響く。
その記憶は、都内の会社員男性(55)にとって長い間、心の重しになっていた。
- 【記者サロン】さらば毒親 ご意見募集・4月18日~配信
物心ついたころから、両親は不仲だった。
父親はいつも寡黙。裕福な家の出で、一家が経済的に困ることはなかったが、週末に家族で出かけた思い出はない。
母親は、そんな家族サービスを顧みない姿が不満だったようだ。
何かにつけて父親につらくあたり、「自分の結婚は不幸だ」と、子どもの前で何度も口にした。
それでも、男性は「そんなものだ」と思っていた。
母親が変わってきたのは、男性が小学2年になったころだった。
受験にのめり込む母 中学まで続いた「軟禁状態」
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