写真・図版
朝日歌壇選者の(左から)永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さん=東京都中央区、小林一茂撮影

 3月9日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さん、馬場あき子さんです。☆は共選作です。

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佐佐木幸綱選

 吹き付ける雪がたちまち隠しゆく灯油を入れるタンクの赤さ(南魚沼市)木村  圭

 終活の手始めとして茶華道の許状を捨つる燃えるゴミの日(橋本市)秋月 晶江

 ハガキだけで受けつけているリクエスト古い流儀の山下達郎(東京都)清水真里子

☆カラビナに擦れてザイルが立てる音岩壁を蹴るたび転調す(京都市)中川 大一

 食い逃げのゴーンは異国でほくそ笑み見る影も無き〈日産〉哀れ(近江八幡市)寺下 吉則

 おべっかに飽きたトランプ無愛想な石破がとても新鮮だった(西海市)前田 一揆

 森友の首相答弁春きざす読み上げられし弔意の手紙(横浜市)一石 浩司

 今もまだ被災地支援の情報が四分の一占む能登版紙面(羽咋市)北野みや子

 年度末で職を失う元気でも仕事が出来ても歳の壁あり(横浜市)桑田よし子

 呼吸するように噓つく彼なれど文芸部には向いていたらし(オランダ)宮沢 洋子

 【評】第一首、はげしく降り続ける雪。赤と白との対比が印象的。第二首、終活に対する本気度が伝わって来る。第三首、歌手・山下達郎はラジオ番組のリクエストを葉書(はがき)でしか受け付けないという。それでも多くの数が来るらしい。

高野公彦選

 幾たびも首相変われど拉致の…

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