第2次世界大戦中、米国で強制収容されて差別に苦しんだ日系人たちを雇い、支えた白人の農園主がいた。恩返しをしたい――。受け入れてもらった94歳の日系人男性の長年の願いが今年、実を結んだ。

 「第2の故郷に戻れてうれしい」。2月15日、雪山に囲まれたユタ州ブリガムシティー。日系2世のノリオ・ウエマツさん(94)は、ある式典でそんな言葉をもらした。

写真・図版
米ユタ州ブリガムシティーで1948年、ノリオ・ウエマツさん(後列左)の高校卒業時に撮影した家族写真。父ニロクさん(後列右から2番目)、母シツヨさん(前列右)らの姿もある=ノリオ・ウエマツさん提供

 旧日本軍による真珠湾攻撃が起きた翌年の1942年。11歳だったウエマツさんは、住んでいたカリフォルニア州から家族とともにワイオミング州のハートマウンテン収容所に連行された。

 ウエマツさんの両親は広島県…

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