
4月13日に開幕する大阪・関西万博に行く小中高校などを対象に香川県がチケット代や交通費を補助する事業を始めたが、利用校数が伸び悩んでいる。補助が決まったのは、県内の小中高校など289校のうち約6%の18校。補助の申し込みは9月まで続くが、利用校が増えるか、先行きは不透明だ。
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県は、修学旅行や校外学習などの「学校教育活動」として万博を訪問する県内の学校に対し、入場チケット料の全額、交通費は1クラスごとに実費の半額(上限10万円)を補助している。
この事業をめぐっては、県教委は2024年度当初予算で、県内の学校289校、計約10万人を対象とし、翌25年度までにわたって支出する債務負担行為も含め、最大4億2千万円を確保していた。
今月6日にあった県議会文教厚生委員会で、立憲・市民派ネットの植田真紀県議が事業の現状や見通しについて、県教育委員会に質問した。
県教委によると、昨年7月末から補助の受け付けを開始し、今年2月末までに県内の小中高校計18校への補助金交付が決まっている。交付の決まった金額や参加する児童生徒数は公表していない。
参加に前向きの学校は約3割あったが…
昨年4月に、県教委は修学旅行や校外学習で万博を訪れるかどうかをアンケートした。288校から得た回答のうち、「参加予定あり」「参加する方向で検討中」と前向きな回答だったのは約3割の82校だった。
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県教委はこのアンケート結果をもとに、82校のそれぞれ一学年にあたる児童生徒が万博を訪れると仮定し、当初予算案を編成。この事業に6600万円を計上した。
しかし、補助が決まった18校への補助金額は、ごく一部だ。
植田県議は委員会質疑に先立ち、県教委に対し、18校各校への交付金決定通知書や参加人数が分かる書類の開示請求を行い、一部が公開された。
この資料をもとに朝日新聞が集計したところ、18校への補助金額の合計は437万3千円で、予算案に計上された額の約7%にとどまる。児童生徒数は926人だった。
委員会では、植田県議がアンケートの結果と比べると申込数が少数にとどまっていることを指摘した。
県教委総務課の近藤高弘課長は「アンケート後にさまざまな意見や事情に基づき、アンケートの回答と異なる対応をする学校も出てくる」と答弁。現在までに申し込みのあった学校のうち、アンケートでは「参加しない方向」と回答していた学校もあるとして、「今後も動向を見守っていきたい」と話した。
補助の受け付けは、9月中旬まで続くため、今後利用数が増える可能性はある。
ただ、一般的に修学旅行や校外学習は教職員らの下見を経て、前年から予定を立てることが多い。万博の会場への下見は開幕直前までできないため、どこまで利用が伸びるかは未知数だ。