
北海道旭川市の神居古潭で昨年4月、高校生(当時17)が橋から落ちて溺死(できし)した事件で、殺人などの罪に問われている当時19歳の女(20)に対する裁判員裁判が5日、旭川地裁(小笠原義泰裁判長)で結審した。検察側は「人の尊厳を踏みにじる、極めて残虐で悪質な犯行」として懲役25年を求刑。弁護側は「償うため根気よく勉強を続けており、再犯の可能性はない」として、懲役15年を求めた。判決は7日。
起訴内容に争いはなく、女が主体的に関わっていたか争われた。
女はこれまで、内田梨瑚被告(22)=殺人罪などで起訴=が「橋から高校生を落とした」という趣旨の証言をしていた。検察は論告で「自身の責任を過小に見せようとするもの」と批判。内田被告ら共犯者の供述から、怒った女が率先して暴力を振るっていたとし、「決して従属的ではなく、内田被告と同程度の役割を果たした」と主張した。
一方で弁護側は、女は内田被告の行動の途中から加わっており、その後も内田被告の指示に従っていたと主張。女自身、小学生の時にいじめにあって不登校になるなどの背景があり、知り合って3週間の内田被告と健全な人間関係の構築ができていなかったとした。
この日は、高校生の両親の意見書も代読された。母親は、高校生が謝罪させられるなどした動画を見て「言葉を失った」とし、「同じ目にあわせてやりたい。極刑しかないと思います」と訴えた。
最後に女は証言台の前に立ち、涙ながらに「(高校生には)痛くて怖くて寒くて、言葉にならない恐怖を感じさせたまま亡くならせてしまいました。改めて遺族の気持ちを聞き、まだまだ反省が足りないと思いました。この法廷では、真実を語っただけで、自分の罪を軽くしようとしたわけではありません。私の犯した罪は、私の責任。下された刑に従います」と語った。