
米資産運用大手ブラックロックらの企業連合は4日、パナマ運河周辺の港湾事業などを香港企業から228億ドル(約3.4兆円)で買収することで基本合意したと発表した。トランプ米大統領は「パナマ運河が中国の影響下にある」とたびたび主張し、理由の一つにこの企業が運河周辺で二つの港を運営していることが指摘されていた。買収にトランプ氏の意向が働いた可能性がある。
発表によると、ブラックロック側は、パナマ運河周辺の港を含む世界の計43港の運営権を香港の長江和記実業(CKハチソン)から買い取る。米紙ニューヨーク・タイムズによると、CKハチソン側はパナマ運河の運営から撤退するよう政治的圧力を受けたと考え、米国の買い手を探していたという。他に3件の入札があったが、最終的にブラックロックらが選ばれた。
パナマ運河は、大西洋と太平洋を結ぶ海上交通の要衝。1914年に完成し、その後は建設を担った米国の管理下に置かれたが、99年にパナマに全面返還された。トランプ氏は就任後、「パナマ運河は中国が支配している」「米国だけ不当に通航料を高く払っている」などと主張し、「米国が取り返す」と述べるなどしている。