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最高裁判所=東京都千代田区

 動画投稿サイト「ニコニコ動画」を運営するドワンゴ(東京)が、日本で取得した動画配信システムなどの特許を侵害されたとして、米国のサーバーを使って類似のサービスを提供したFC2(米国)を訴えた2件の訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(草野耕一裁判長)は3日、特許を侵害していないとするFC2側の上告を棄却する判決を言い渡した。

 これにより「サーバーが国外にあっても、日本の特許権侵害にあたる」と判断してドワンゴの勝訴とした二審判決が確定した。

 問題になったのは、ニコニコ動画の再生中にユーザーが投稿したコメントを水平に流して表示する機能に関する複数の特許。ドワンゴはFC2側に対し、配信差し止めや損害賠償を求めていた。

 特許権をめぐっては、登録した国だけで権利が保護されるとする「属地主義」の原則がある。FC2のサービスは主に日本のユーザー向けだったが、米国のサーバーを使っていたことから、裁判でFC2側は「日本国内の特許権は侵害していない」と反論していた。

 2件の訴訟は一審が東京地裁、二審が知財高裁で審理された。一審判決は「属地主義」を厳格に解釈するなどし、特許権侵害を認めなかった。

 しかし、二審・知財高裁は「サーバーを国外に置くだけで特許権を保護できないのは妥当ではない」などと指摘。システムを利用することの効果が得られる場所や、特許権者の経済的利益に与える影響などを考慮すべきだとの考え方を示した。そのうえで今回のケースは特許権侵害にあたると認め、FC2側に損害賠償などを命じていた。

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