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飼い主と一緒に車中泊を続ける「ハナ」。一時預かりされることが決まった=2025年3月1日午後5時25分、岩手県大船渡市、東野真和撮影
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 山林火災が延焼を続ける岩手県大船渡市で、避難所にペットを同伴できず、飼い主が車中泊せざるをえない状況になっている。それを助けようと地元の有志がペットを一時的に預かるボランティアを始め、相談が相次いでいる。

 大船渡市三陸町綾里の坂本美穂子さん(67)は、2月26日の火災発生後、同市三陸町越喜来の三陸公民館に夫と祖母、そして15歳のメス犬・ハナと避難した。しかし、市の避難所運営マニュアルでは、盲導犬など配慮が必要な場合以外は、避難所内にペットを持ち込むことはできない。

 「老犬だし、車の中に置いて寝るのは心配」と、坂本さんはハナと一緒に車中泊を続けた。

 しかし疲労がたまり、今後は寒波も予想される。どうしようかと困っていたところに、同市の小沢希さん(52)が声をかけてくれた。小沢さんは、障害者施設職員としての仕事の合間に避難所に行き、ペットフードやペット用おむつなどを置き、困っている飼い主からペットを預かったり、預かり先を紹介したりしている。

 坂本さんから話を聞いた小沢さんは、高校の先輩でJDBA(一般社団法人日本ドッグビヘイビアリスト協会)認定ドッグトレーナー・大和田真喜さん(53)に連絡。3月1日、大和田さんは坂本さんと公民館の駐車場で待ち合わせた。「夜だけでも預かってもらえないか」という坂本さんに、大和田さんは「毎日移動するのは犬にも負担がかかる」と、ハナを同県釜石市の自宅でしばらく預かることにした。坂本さんは「こういう方々がいるとは。本当に助かります」。

 大船渡市盛町の市民文化会館でも2月28日、車中泊を続けている男性(59)の13歳のオス猫・茶太郎を、小沢さんの連絡を受けて、釜石市で保護猫ハウスを運営する鈴子真佐美さん(60)が預かった。茶太郎を預けた男性は「ペットと同伴できる避難所を設けている自治体もあるのに、遅れてる」と嘆く。

 3月2日午前までに、小沢さん、大和田さん、鈴子さんが預かったペットは、猫22匹、犬2匹になっている。

 こうした有志の行動もあり、大船渡保健所が相談窓口(0192・27・9923)を設け、小沢さんらや「動物いのちの会いわて」(岩手県雫石町)が保護や支援に応じる仕組みが1日に整った。

 鈴子さんは「東日本大震災の時は、特に福島で、ペットを預かった人たちと連絡が取れなくなった例が多くあった。地元住民がつなぎ役になって、後ろで大きな団体が支えると飼い主も安心する」と話す。

ペットを置いて逃げた、心の傷

 避難規模の拡大に連れて問い合わせも増えている。今回の火災でも、急な避難でペットを置き去りにせざるをえず、心配する飼い主も多いという。

 大船渡市の合足地域から蛸ノ…

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