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「昭和元禄落語心中」に出演する山崎育三郎

 アニメ化もされた人気漫画を、ミュージカルに。最近よくある話だが、「昭和元禄落語心中」は少し毛色が違う。ミュージカル界のスター、山崎育三郎が自ら企画したからだ。

 名人有楽亭八雲に入門した、天才肌の助六と、地道に努力する菊比古は、斜陽の落語界で修業を続ける。芸者みよ吉との色恋も絡み、衝突と別離が訪れる。

 山崎は助六を演じる。似ているのは「とにかく前へ前へ突き進む。ネガティブなことを口に出さない」ところ。「汚いとこ、酒を飲んで高座に上がるところは嫌」とも。役作りのため、ストレートの髪にパーマをあててぼさぼさ頭にした。

 落語を口演するシーンがある。柳家喬太郎らから9席教わったが、演技には労力がいる。「普段は相手から受けたもので何が生まれるか、ということをやっている。一人になった時は、自分が投げた音に対して、自分でしゃべりながら感じながら、自分とキャッチボールしてる感じなんで」

 2018年のドラマ版で助六を演じ、舞台化しても「原作の持つ強いエネルギーが必ずお客様に伝わる」と確信。同じ事務所の古川雄大、明日海りおと共演するミュージカルの企画が始まった際、真っ先に提案した。脚本・演出は小池修一郎。原作漫画の作者、雲田はるこも助言する。

 山崎は、大事だと考える場面…

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