写真・図版
盗まれた真柏=雅松園提供

 熊本県御船町の盆栽専門店から多数の盆栽が盗まれた事件で、逮捕・起訴されたベトナム人の男2人の刑事裁判が熊本地裁で続いている。公判を傍聴すると、技能実習生として来日したものの不法滞在となって生活に行き詰まり、盆栽の価値も分からないまま盗みに加担してしまった状況が浮かび上がってきた。

  • 盆栽1880万円相当盗まれる 被害の生産者「せめて国内で流通を」

 三重県伊賀市の24歳の男と住所不定の29歳の男の被告2人は昨年5月8日午前1時35分ごろ、御船町高木にある雅松園の敷地に外壁を越えて侵入し、盆栽33点(販売価格合計で約1880万円)を盗んだとして、建造物侵入と窃盗の罪で起訴された。2人はともに出入国管理法違反(不法残留)、さらに24歳の男は大麻取締法違反(栽培)の罪にも問われている。

 26日にあった24歳の男の公判では、盆栽盗難事件について検察側が冒頭陳述をした後、弁護側と検察側の双方が被告人質問をした。

説明と違う低賃金、でも「家族に仕送りを」

 それによると、2019年4月、期限1年の技能実習生として関西空港から入国したが、実習先から逃亡した。給料が安く、事前の説明とは違う仕事までさせられたのが理由だった。

 毎日のように連絡を取り合っていたベトナムの母や妹からは「帰って来い」と促されたが、「貧しい家族に仕送りを続けねば」と帰国を思いとどまった。しかし、不法残留では仕事が限られ、実習先から得た給料を上回ることはなかった。

 そんなとき、不法残留のベト…

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