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神奈川県

 神奈川県大和市の保育園で昨年8月、40代の当時の女性園長が複数の園児に対し、逆さづりにしたり給食を無理やり食べさせたりしていたことが、市などへの取材で分かった。この園長は11月に退職したという。

 市によると、保育園は川崎市高津区の会社が運営している。昨年9月の時点で、職員17人が在籍し、0~2歳の計21人の子どもが通っていた。

 市によると、昨年8月下旬、入園の検討のために園を見学したという保護者を名乗る人から「園長が園児を逆さづりにするなどしている」と市に情報提供があった。

 市は9月3日と10月22日に園を訪れて保育士らから聞き取りを実施。11月8日には園の運営会社からも事実確認をした。

 運営会社は11月15日、元園長の保育状況について市に報告書を提出。報告書によると、昨年5~11月にかけて複数の園児に対し、逆さづりにしたり無理やり給食を食べさせたりするなどしていたほか、「うるせえよ」「ぶっ飛ばす」などの暴言を繰り返していたという。運営会社側から市に「園長も事実関係を認めている」と説明があった。元園長の行為が原因とみられるけがは報告されていないという。

 市によると、現在子どもを通わせている保護者に対して、これまで元園長による行為や事案の経緯は説明されていないという。

 運営会社の代表者は朝日新聞の取材に「保護者やお子様に申し訳ない」と話した。

 市はこれまで事案を公表していなかった。担当者は「子ども・子育て支援法では、(行政側の)勧告に従わない場合に、臨時の指導監査を行い、指導内容を期日までに守らなかった場合に(事案や経緯を)公表できるとされている。今回、不適切な保育はあったが、行政からの勧告前に園側から報告書が提出されるなど対応がなされたので、指導や監査にはいたらなかった」と説明した。

 古谷田力市長は「あってはならないことと重く受け止めている。ガイドラインに応じた対応としては事案を公表するものに該当していなかったが、今後は、重大な事案については公表するなど、こどもたちが安心して過ごせる環境づくりに一層取り組む」とのコメントを出した。

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