九州工業大の飯塚キャンパス(福岡県飯塚市)にあるマイクロ化総合技術センターに、日本中の半導体関連企業の研修が殺到している。工程が細分化された半導体づくりで、ここは、設計から検査まで全工程を実際の機器を使って学べる珍しい施設だからだ。かつての炭鉱の町に、いま最新の半導体を学ぶ人たちが詰めかけている。

 作業服に着替え、手袋、マスク、専用の靴を着用。エアシャワーを浴びてクリーンルームに入ると、大小様々な機器が90台も並んでいた。「ここはすべての工程を目で見て実際に触って研修できます。工程のごく一部ではなく全体を俯瞰(ふかん)できます」とセンター長の中村和之教授は言う。

 NEC出身の中村教授は新入社員時代、研修で全工程を体験し、その後の開発や研究に役立ったという。ところが、いまの半導体製造は設計→洗浄→塗布→露光→切削→検査など各工程が細分化され、全体を見渡しにくい。おまけに製造装置のブラックボックス化が進み、大きな箱のような機器の内部でどんなことが起きているのかわかりにくい。

 九工大の同センターは1994年に開所し、旧式の機器が多い。しかし、それゆえ実際に手で触れ、目で見て、各工程をじかに体験できる。

 2018年度に研修受け入れ…

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