天橋立を望むオリーブ園に立つ前田純さんと直子さん=2024年4月5日午前9時14分、京都府宮津市中野、今林弘撮影
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 日本三景の一つ、天橋立(京都府宮津市)を望む丘に、600本を超すオリーブの木々が広がっている。育てているのは、大阪から移住した40代の夫婦。荒れ果てた耕作放棄地を少しずつ開墾し、地元住民とともに、絶景を見渡せる憩いの場づくりをめざしている。

 天橋立駅から車で15分ほど。天橋立の見える山すそにあるオリーブ園「MAEDA OLIVE FARM」に4月13日、京都府の内外から35人の家族連れが集まった。園を営む前田純さん(44)、直子さん(42)夫妻が初めて開く植樹の体験会だ。土を丁寧に掘り起こし、腰ほどの高さの苗14本を次々に植えていった。「2人で開墾したの?」と尋ねられると笑顔で応えていた。

 純さんは大阪府枚方市の電気通信工事会社で約20年働いた。朝4時半に家を出て、帰りは夜8時。幼い子ども2人の寝顔しか見られない生活に疲れ、4年前、直子さんの祖父の家がある宮津市府中地区に転居した。天橋立に近い海沿いの街だ。

オリーブを特産品に

 宮津市では高齢化などの影響で、作物を作らなくなった耕作放棄地が増加。市は新たな特産品にしようと、オリーブの産地化をめざし、2014年に試験栽培を始めた。そのうち市民が耕作放棄地を開墾してオリーブを植えるようになり、市は17年度から生産者に補助金を出して後押しした。

 直子さんの父もオリーブ作りに加わり、300本のオリーブを植えていた。「純さん、オリーブを一緒に育ててみーひんか?」。義父の誘いを受け、農業が未経験だった純さんも直子さんも「ここで自分たちの時間を取り戻したい」と、オリーブ農家になることを決めたという。

 近所でパワーショベルを借りて開墾し、畑で杉や竹を根こそぎ抜いた。ひたむきに作業する姿に、周囲の住民からは「自分の田畑も開墾してほしい」と声がかかった。

夫妻は、オリーブ園が住民らの憩いの場になるように様々な工夫をこらします。記事の後半で紹介します。

 その一人、今井美好さん(8…

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