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賃金

 女性は出産を機に10年間で賃金が46%下がる「子育てペナルティー」があるのに対し、男性は逆に8%増える――。諸外国と比べて大きな日本国内の男女賃金格差について、東京大の山口慎太郎教授(労働経済学)らが分析したところ、第1子の誕生が男女の賃金に逆の影響を与えることがわかった。

 研究グループは、社員数約4千人の大手製造企業の協力を得て、2013年~24年の人事データを使い、出産・子育てによってどのように男女の賃金格差が拡大するかを分析した。

 まず男女でそれぞれ「既婚で子どものいる社員グループ」と「子どものいない社員グループ」を比較した。子のいる女性は、子がいない女性に比べ、出産後10年間で46%も賃金が下落。子のいる男性は扶養手当などを受け取るため、賃金が8%増えていた。

 男女格差の要因も分析した。出産直後の賃金格差のほとんどは、「育児休業」や「時短勤務」で多くの女性の労働時間が減る一方、男性たちは子がいても労働時間が減らないばかりか「残業手当」も得ていることで説明がつくという。

 ただ女性はフルタイム勤務に…

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