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白装束の人々が激しくぶつかりあい、身を清めるため夜の海へ飛び込む。350年以上の歴史を持つ三重県尾鷲市の尾鷲神社の例大祭「ヤーヤ祭り」に名古屋報道センターの記者(24)が参加した。もみ合いの中でのぼり立つ湯気、冬の海の心地よさ、そして豪胆で懐の大きな尾鷲の人々のぬくもり。大漁と豊作を願う「奇祭」に身を置き、肌で感じた。
「明日は『練り』に入ってみるか?」
取材を終えた3日夜、今年の祭りを仕切る二つの町の一つ、野地町の中村孔栄(よしえい)さん(52)に誘われた。
丸太の囲いはまるでリング、白装束のぶつかり合い
例年1~5日に市内の旧18町が参加して催されるヤーヤ祭り。その名は、戦国時代の武士の名乗り「ヤーヤー我こそは」に由来し、体をぶつけ合う「練り」は武士の合戦を表しているとされ、本来、町の若者しか参加できない伝統だ。
頭で考えるより先に「やりたいです!」と答えた。どこからか聞こえてきた「じゃあ飛んじゃうか」と、練りの後に海や川で身を清める「垢離掻(こりか)き」の誘いにも二つ返事で応じ、ふんどし一丁で2月の海に飛び込むことが決まった。
4日午後5時、中心街の衣料品店で急きょ買った白装束をまとい、祭りの期待と少しの不安を抱えて、練りの拠点「祷屋(とうや)」の敷居をまたぐ。
「ビシーッとしとるね」と中にいた女性が記者の姿を褒めてくれた。
午後6時過ぎ、野地町の若者がぞろぞろと集まり、記者も連なった。参加者は約50人。それぞれ刺繡(ししゅう)やデザインにこだわった特注の白装束を着ていて、祭りへの情熱が垣間見える。
午後7時、祷屋を出ると、幅4メートルの路地に沿って組まれた囲いの外で、子どもや若い女性、家族連れが「練り」の開始を待っている。路地がリングに様変わりし、威圧感を放っていた。
「新田さんが来ました!」。最初の相手となる新田町の約50人と向かい合う。じりじりと間合いを詰め、「チョウサじゃ」「チョウサじゃ」と恒例の掛け声が上がる。
全裸NG、記者も「ふんどし」で海へ
場は緊張感と高揚感に包まれた。
「いけ!」。仕切りの中村さ…