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鬼が豆をまく鬼鎮神社の節分祭=埼玉県嵐山町、町提供
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 埼玉県嵐山町の「鬼鎮(きぢん)神社」で長年続いてきた鬼の豆まきが、廃止されることになった。珍しい節分行事として楽しみにしていた人は多く、観光関係者からも「残念」との声があがる。

 神社は、鎌倉時代の武将畠山重忠が館を構える際に「鬼門封じ」のために建立されたという由来を持つ。鬼を大事にしており、「鬼に金棒」の言葉に掛けて社殿には金棒が奉納されている。

 1年で最もにぎわうのが節分祭。壇上に赤鬼と青鬼が登場し、「福は内(うち)、鬼は内、悪魔外(そと)」という掛け声で豆をまくのが特徴だった。

 宮司の河野通久さん(69)によると、鬼の豆まきは河野さんの祖父が始めたといい、3代にわたって続いてきた。新型コロナウイルスの感染拡大前の2020年の開催を最後に、その後は感染防止などで実施を見送ってきたが、今回、廃止を決めた。

 河野さんは「小さな神社なので経費がかさみ、やると赤字になる。安全管理も難しく、苦情を言ってくる人もいるのでやめることにした」と話す。

 今後も神社の役員による神事は開くが、一般向けの豆まき行事は廃止する。

 神社を紹介してきた町や町観光協会などからは惜しむ声があがる。ある関係者は「町の特色ある行事としてPRしてきたのでとても残念です」と話している。

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