冷えた空気を吸い込んだ。昨年末、ミャンマー北東部シャン州の州都タウンジー。山の中腹に赤や白の屋根の住宅が広がる、標高約1400メートルの街だ。急な坂道の多さも相まって、どこか日本の温泉街を思わせる。
この街に「変化」が起きているという。
「今までなかった渋滞がよく起きるようになった」。地元の男性(31)が言った。確かに、観光地というわけでもないのに交通量が多く、活気がある。人口30万~40万人とされてきたが、人々は「2~3倍になった感覚だ」と言う。
4年前の2021年2月1日。ミャンマー国軍が、民主的に選ばれた政権からクーデターで全権を奪った。国軍と抵抗勢力の武力衝突が各地で相次ぎ、タウンジー周辺には避難民が流入してきた。
大きな「波」が起きたのは昨年7月だ。北東に約250キロ、中国国境に近い州北部の主要都市ラショーで、少数民族武装勢力「ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)」が国軍を攻撃、市街戦に発展した。独立系メディア・イラワジによると、人口約15万人のラショーから「ほぼ全て」の住民が逃げ出した。その主な避難先がタウンジーだった。
影響はすぐに表れた。避難民が開いた麺類やバーベキューの露店が、道路脇にずらりとできた。避難民が住み着き、家賃や住宅価格は約4倍に急騰したという。
避難民にも「格差」 教会に受け入れられ…
ラショーは貿易の要衝で比較的裕福な人が多い。物価高をものともせず、中にはタウンジーで土地や物件を買いあさる人までいるという。いわば、避難民が避難先で引き起こした不動産バブルだ。
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経済的な余裕のない人はどうしているのか。
「緊張が止まらず、過呼吸に…