イタリアのメローニ首相は28日、国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出していたリビアの政府高官への対応をめぐって、逃亡を幇助(ほうじょ)した疑いなどでイタリア検察当局の捜査対象になっていると明らかにした。SNSに投稿した動画で「脅迫には屈しない」と述べ、捜査に反発している。
ANSA通信によると、メローニ氏は動画の中で、自身とこの問題にかかわった閣僚ら3人が捜査の対象になっていると明かした。捜査は左派の政治家につながりを持つ弁護士の告訴を受けたもので、自らに対する政治的な攻撃との見方を示している。
この問題をめぐっては、ICCが18日、人道に対する罪と戦争犯罪の疑いでリビアの首都トリポリにある刑務所の責任者オサマ・ニジェーム氏(45)に対して逮捕状を出した。ICCによると、イタリア司法当局は19日に国内に滞在していた同氏を拘束したが、21日に釈放してリビアに帰国させた。
イタリア政府はニジェーム氏を釈放した理由として拘束時の司法手続きに不備があったと説明。さらに、「安全保障上の理由」でリビアに帰国させたとしているが、人権団体などは移民の流入抑止で協力を求めるリビアに配慮した対応だと批判している。