「野菜王国」の群馬県。出荷量(2023年産)が全国トップ5に入る12品目としてホウレンソウやキュウリのほかにキャベツがあるが、夏秋キャベツに限ると昭和45(1970)年から54年連続日本一と、不動の地位を誇る。その大半を出荷する同県嬬恋村で、SDGs(持続可能な開発目標)の一つ、環境への負荷軽減をめざす研究プロジェクトが進む。トップランナーの取り組みを探った。

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嬬恋高原キャベツの収穫風景=群馬県嬬恋村、村観光協会提供

 約3千ヘクタールに及ぶ村のキャベツ畑の間を縫うように、大型機械が入れる広い道路が整備されていた。大量のキャベツ輸送を支える道路網だ。県吾妻農業事務所長野原係の普及指導員小林逸郎さんは、道路整備がキャベツ産地として発展する礎になったと指摘する。

 昨年11月下旬に現地を訪れたところ、標高800~1400メートルの高冷地で育てられる「嬬恋高原キャベツ」の収穫は、ほぼ終わり、黒い土が見渡す限り広がっていた。火山灰土壌の「黒ボク土」だ。

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高原地帯に広がるキャベツ畑。なだらかな斜面に畑が続く=群馬県嬬恋村

 山林を開墾して広げた畑の多…

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