中部電力は、浜岡原発3、4号機の再稼働に向け、防波壁の追加のかさ上げ工事の実施を決め、規制基準の適合審査への対応に注力する。東日本大震災後の2011年5月に、政府の要請で運転を停止してから13年半。それでも稼働にこだわるのはなぜか。林欣吾社長に聞いた。
――昨年、浜岡原発の再稼働に向けての動きがありました。
「(今年の抱負のひとつとして)浜岡原発について、プラント審査を着実に進めることに最大限の努力をしていきたい」
――浜岡原発を動かす必要性について、どう考えていますか。
「エネルギー環境が大きく変わっている。将来の日本を支えるためには、AI(人工知能)を中心に新しい産業が必要だ。それを下支えするのはエネルギー、電力だ。しかも脱炭素電源で、安全保障上のリスクがない燃料で、となると、課題解決のために様々なツール、手段を持たなければならない」
「ひとつは再生可能エネルギーで、当社としても地熱発電や洋上風力発電などに取り組んでいく。でも、それだけでは足りない。原子力発電は、発電中に二酸化炭素(CO2)を排出しないので、安全を第一に、有効活用が必要だ」
原発の新増設も「考えていかないと」
――長い間、浜岡原発が停止していても、安定供給ができていたのではないですか。
「今まで供給事故が起きてい…