なぜ税金はこれほどまでに嫌われてしまったのでしょうか。税がない世の中は現実的なのでしょうか。元財務官僚で東京財団政策研究所の研究主幹、森信茂樹さんに話を聞きました。
- ある朝、玄関先でマルサに囲まれた 元脱税犯が語る「地獄」の始まり
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国家について、国民の安心や安全のために社会福祉や教育、警察、防衛などのサービスを提供してくれる自立的な団体だと捉え、税金はその経費であるという考え方を「民主主義的租税観」と呼びます。
こうした国家観のもと、憲法では納税を国民の義務と位置づけており、税金を課すには国会が制定した法律によらねばならない、という租税法律主義を定めています。徴税に国家権力が使われる一方で、法律によって公平な税制を決めるよう憲法は求めているわけです。
昨年10月の衆院選以降、減税などを訴えて支持を得ようとする「財政ポピュリズム」ともいえる主張が急速に広がっていると感じます。背景には、若年層を中心に格差が拡大していることと、税金の使途に納得がいかない人が増えていることが挙げられます。
減税の財源としてお金を刷る「MMT」の問題点
財政ポピュリズムのなかには…