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地元の公民館が開いた金融教育の一般向け講座=埼玉県三郷市中央

 オムロン取締役を退任していた安藤聡氏(69)が東京・霞が関の金融庁に呼び出されたのは一昨年のクリスマスだった。

 「新設する金融経済教育推進機構のトップに就いてほしい」。幹部から突然告げられた。

 金融や投資に関する知識の普及をめざし機構が設立されることは報道で知っている程度だった。まさか自分とは。「青天のへきれき」と安藤氏は振り返る。

 もともとは大手銀行出身で、資産運用業務に携わった経験もある。人選は官邸主導で進められたという。

 機構の設立は、岸田文雄政権が掲げた資産所得倍増プランの目玉のひとつだ。新NISA(少額投資非課税制度)が2024年1月に始まるのに伴って、人々を投資に向けさせるため、学校や職域、地域で全世代を対象に「学びの場」を提供する狙いがある。

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金融経済教育推進機構の安藤聡理事長=東京都中央区

■金融リテラシー「生きる力の…

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