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しくみの理解が難しい年金制度。厚生労働省は受けとり額をスマホで試算できるシミュレーターを開発するなど、デジタルツール活用にも取り組む

記者コラム 「多事奏論」 編集委員・中川透

 「子や孫が老後に苦しまないように、あなたの受けとる年金額を少し抑えさせてほしい」。そう言われると家族の顔が思い浮かび、耳を傾ける気がする。

 一方で、冒頭の言葉が「子や孫の『世代』」にかわると話が抽象的になり、「なぜ自分が割を食うのか」と私ならば感じてしまう。社会全体で世代間で支え合う公的年金は、10年単位であり方を考える制度。長い時間軸と複雑なしくみから、自分ごととして想像力が働きにくい。昨年続いた年金制度改革の審議会の議論を聞いていて、つくづくそう感じた。

 国民だれもがかかわるが、難しい年金の話。どう理解すればよいのだろうか。

 わかりにくさの一因は言葉だ…

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