【8】明治大・小田切徳美教授に聞く
都市部から遠く離れ、全国平均を上回るペースで少子高齢化が進んできた半島地域。2024年1月の能登半島地震では、災害への耐性の低さも露呈した。そうした半島の課題を克服する上で欠かせない要素は何なのか。連載の締めくくりに、明治大学農学部の小田切徳美教授(65)=農村政策論=に話を聞いた。
連載「半島を歩く」
能登半島地震を機に、災害時の脆弱さがあらわになった「半島」。半島地域の発展と住民の生活向上を図る半島振興法の制定から40年。全国各地の半島を記者が訪れ、現状を探り、課題を考えます。全8回の連載です。
第2次世界大戦後、都市部から地理的に離れていて、地形や人口規模など様々な条件が不利な地域を発展させようと、いくつかの法律が議員立法の形で成立しました。それが離島振興法と過疎法、山村振興法、そして、半島振興法です。
離島まではいかないものの、三方を海に囲まれる半島地域は、人口減少が著しいうえに、都市部と比べて近代化が遅れており、格差を何とか埋めなければならない課題が多い「不利地域」だとされてきました。
医療や教育はDX化で改善
とりわけ、課題としてとらえられてきたのが、医療や教育、公共交通網、インフラなどの弱さでした。ただ、医療や教育は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)化されることで、ある程度は解消されるめどが立ってきました。
都市部との物理的な距離は残るものの、道路や空港などが整備されることで、時間的な距離は相当に短縮されました。
一方、現時点で抜本的に解決…