風に乗れば、うなりをあげて暴れ回るように空を舞う。江戸時代初期から400年近い歴史を持つ小型のたこ「名古屋古流凧(こりゅうだこ)」だ。作り手が途絶えていたが、1970年代前半に名古屋市の木工職人・佐藤鯱風(こふう)さん(91)が復元し、歴史を今につないできた。
昨年12月8日、清須市の庄内川西枇杷島緑地で「日本の凧(たこ)の会 東海支部」のメンバーが集まり、自作のたこを空に泳がせた。
「ビーン」。虫の羽音のような大きな音を響かせて舞う全長1尺(約30センチ)のたこを操るのが、設立者のひとり、佐藤さんだ。
再びわき上がった憧れ
小さい頃から、ものづくりと空への憧れがあったという佐藤さん。戦後間もない学生時代、模型飛行機づくりに熱中。手先の器用さを生かし、高校を卒業すると名古屋市内で木工所を開いた。
1969年ごろ、当時30代の佐藤さんは名城公園で強風の空を荒々しく泳ぐたこに目を奪われた。
たこ揚げをする年配の男性に…