パラサイクリング選手の官野一彦さん(43)=千葉県袖ケ浦市=が昨年10月、フランスで、手こぎ自転車であるハンドサイクルを駆使して1時間に28.331キロを走る世界最長記録を達成した。パラリンピックの車いすラグビーですでに銅メダルを手にしているが、今度はギネス世界記録の獲得。今はパラサイクリングに舞台を変え、2028年のロサンゼルス・パラを狙う。競技は変わり、自身の環境も大きく変わった。
パリをひたすら走った
昨年10月3日、官野さんはフランス・パリの森林公園「ブーローニュの森」にあるパリロンシャン競馬場サイクリングコースをひたすら走った。
所属するフランス最大のソフトウェア会社「ダッソー・システムズ」によるイベントの一環。モビリティー(乗り物)をすべての人にとってアクセス可能なものにしようという企画だった。
「自転車をこぐだけの自分に、恵まれた環境を与えてくれた会社に初めて貢献できた」
競技人生は平坦(へいたん)ではなかった。高校野球の強豪である木更津中央高校(現・木更津総合高校)で1年からレギュラー。プロ野球選手を目指したが、甲子園に出られずに断念。一転してサーファーになり、スポンサーもついたが、波に巻き込まれて頸椎(けいつい)を骨折し、車いす生活になった。
東京パラを前に代表から外れた
そこから車いすラグビーの世…