競艇のオッズ盤=2024年10月11日午前10時10分、埼玉県戸田市、山田暢史撮影

 1964年の東京五輪の漕艇(そうてい)競技で使われた埼玉県戸田市の戸田公園内にある国有地(約2.2万平方メートル)が、50年以上にわたってほぼ放置されていた。会計検査院の調べで分かった。財務省関東財務局が国有地として必要とされる不動産登記をしておらず、戸田市が一部を市有地として登記したり、競艇場が大型電光掲示板(オッズ盤)を無断で建てたりしていた。

 国有財産法などは、国有地は効率的な運用を行い、企業などが経済活動を行う場合は買い取りや有償貸与をすると定める。

 問題の土地はもともと、文部科学省が64年東京五輪で使用。翌65年に関東財務局の管理となったが、国有地として権利を守る登記をしていなかった。埼玉県が公園用地として使用するとして、関東財務局は県に管理を委託したが、貸し付け条件などを決める契約を結んでいなかった。

 82年に競艇場がオッズ盤(横80メートル、高さ10メートル)などを設置。商業利用していたが、建設許可の手続きをとっておらず、土地を有償利用する契約も結んでいなかった。戸田市が市有地として登記をした土地も一部あった。

 関東財務局は定期的に県と交渉をしていたとするが、検査院によると、県との交渉記録は20年以上、確認できなかった。検査院は「国として土地の状況を把握し、適切に管理をする意識が欠けている」として、関係機関と調整を求めている。財務省は「対応はしてきたが、県との交渉がうまくいかなかったと聞いている。指摘を受け、改善したい」とする。(座小田英史)

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