近現代の名建築の大規模な公開イベント「東京建築祭」が25日、銀座や丸の内などを舞台に初めて開かれた。建築家や研究者の解説を聞きながら巡る有料のガイドツアーのほか、普段は見られない18カ所のビルや商業施設の一部が特別公開された。26日まで。
日本橋にある旧三井財閥の本拠地で、国重要文化財の三井本館では、事前に申し込んだ参加者らが地下の大金庫を見学。幅2.5メートル、50トンの重厚な扉を押した人は、意外になめらかな動きに驚いていた。
築地本願寺の講堂や貴賓室、新橋にある築92年の堀ビルの1階共用ラウンジなどは事前申し込み不要で無料公開された。
建築祭の運営資金はクラウドファンディングや助成金でまかなう。大規模な建築祭は2014年の大阪を皮切りに京都や神戸でも行われ、今回の東京開催につながった。
合言葉は「建築から、ひとを感じる、まちを知る」。主催した実行委員会の委員長で、建築史家の倉方俊輔・大阪公立大教授は「建築はクライアント、設計者、大工、技術者など携わった人たちを知ることで、魅力が増していく。特別な知識はいらないので、自分なりの楽しみ方を見つけてほしい」と話している。(細川卓)