記者の左腕に出たじんましん=2024年4月9日午前3時46分、東京都内
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 今年の桜が満開を迎えていた日だった。じんましんが全身に出て意識を失い、救急搬送された。大学病院で告げられたのは、激しいアレルギー反応「アナフィラキシーショック」。これまでアレルギーと診断されたことはない。大人でも発症することはあるのか。専門家によると、食物が原因で大人になって突然発症する「大人の食物アレルギー」は近年増えているという。

記事後半には、国立病院機構相模原病院アレルゲン研究室長の福冨友馬医師へのインタビューがあります。

 記者は46歳。花粉症もぜんそくもなく、食事制限のある食べ物もない。

 4月上旬の平日、友人と一緒に東京都内のそば屋で夕ご飯を食べた。純米酒を片手に、そばと卵焼き、長いもの漬けもの、マグロの刺し身を楽しみ、近況を語り合った。

吐き気で目が覚めた

 帰宅して就寝したのが午後11時。翌日未明、吐き気で目が覚めた。洗面所に駆け込み、しばらくすると、じんましんが太ももに広がった。「明日は皮膚科に行かないと」。そう思い、スマホで写真を撮った。この時、午前3時半すぎ。じんましんはその後、腕やおなか、顔、頭と全身に出た。

 かゆみにうなり始めてまもなく、今度は腹痛に襲われ、トイレに駆け込んだ。額の冷や汗をぬぐい、寝室に戻ろうと立ち上がったとたん、気づいた時はトイレの床に倒れ、天井を見上げていた。

 「気を失った?」。そう思い…

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