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宇都宮地裁

 栃木県佐野市で2023年に長男(当時43)を殺害したとして殺人罪に問われた群馬県館林市の無職関口房子被告(71)の裁判員裁判の判決が27日、宇都宮地裁であった。瀧岡俊文裁判長は「被害者に落ち度があったとはいえ、殺害の選択がやむを得ないといえるほどの状況ではない」として懲役5年(求刑懲役10年)の判決を言い渡した。

 判決によると、被告はパチンコなどで浪費を重ね借金返済に困窮した長男からのしつこい金の無心に悩まされていたが、23年5月18日夕、無心を断ったことで長男と口論になり、「もはや殺害するしかない」と決意。佐野市内の住宅で長男の左胸を包丁で1回突き刺して殺害した。

 瀧岡裁判長は、犯行は「身勝手で短絡的だ」と指摘しつつ、訪問介護職員だった被告が長男に自宅に押しかけられたり、出勤を妨害されたりして帰宅できなくなり、精神的に追い詰められていた状況を認め、「被告への非難を軽減させる事情があった」とした。

 一方で、「他者に相談するな…

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