佐賀県産養殖ノリの今季最初の入札会が28日、佐賀市で開かれた。昨季は出た色落ち被害が今季は今のところほとんどないといい、平均単価は秋芽ノリの初入札会で過去最高となった。昨季まで2年連続で生産日本一の座を兵庫県に奪われたが、奪還に向けまずは順調な滑り出しとなった。
この日は計1億970万7300枚が出品され、昨年の1回目の9489万300枚を上回った。今季は種付けした10月中旬の海水温が高かったことから、種の網への定着が遅れ、出品量は8千万枚程度にとどまると見込まれていた。しかし高水温がノリの成長速度にはプラスの方向に働き、ほぼ平年並みの出品量になったという。
販売総額は約38億6471万円、平均単価は1枚あたり35.23円で、過去最高だった昨年の33.90円を上回った。
県有明海漁協によると、ノリ生産者がいなくなった大浦支所を除く14支所全てから、色落ちのない黒いノリが出品された。全生産支所が1回目の入札で黒いノリを出品できたのは4年ぶりという。
今季は成長が速かった分やや硬くなり、最高級ブランドの「佐賀海苔(のり)有明海一番」の認定はなかった。しかし雨で川から流れ込んだ栄養塩は豊富で、漁協の深川辰已参事は「全体的には良質なおいしいノリが採れている」と話した。
入札会には全国から51の商社が参加。300人ほどが会場を回り、1箱ずつサンプルのノリを手にとっては、穴がないか、色つやや味はどうかをチェック。会場に置かれた機械で焼き、焼いた後の状態も確かめていた。
出品されたノリを見て回っていた県内の商社の男性は「よくここまで採れた。(2季連続の不作で)品不足なので、欲しいところは高値を入れてくるだろう」と話していた。
会場には西久保敏・同漁協組合長と山口祥義知事も訪れ、西久保組合長は「供給責任を果たすべく、質の良いノリを1枚でも多く生産できるよう、生産者一丸となって取り組んでいく」とあいさつ。山口知事は「量、額、質も含めて日本一を続けてきたが、この2年間厳しい状況だった。佐賀と言えばノリ、ノリと言えば佐賀という自信を取り戻すために、今季は官民一体となって日本一を奪回したい」と述べた。