カラフルなギョサン。低価格も魅力だ=2024年12月17日、神奈川県小田原市栄町1丁目のマツシタ靴店、清水敬久撮影

 神奈川県小田原市のマツシタ靴店は創業107年となる老舗の靴店。だが、一番の推しは靴ではない。おしゃれなアイテムとして知られるサンダル「ギョサン」だ。

 イエロー、ターコイズ、クリアブルー、ネオンピンク……。色とりどりのサンダルが店の壁一面に並ぶ。150種類ほどをとりそろえ、「ギョサン取扱量 日本一」を誇る。

 仕掛けたのは、4代目にして現店主の松下善彦さん(52)だ。

 ギョサンはもともと、小笠原諸島で普及していた合成樹脂製のサンダル。鼻緒とソールが一体成型され、安くて丈夫で船の上でも滑りにくいと漁師たちの間で評判になった。

 「漁業従事者用サンダル」、あるいは漁協で売られていたから「漁協サンダル」などと呼ばれ、やがてギョサンの名で定着したといわれる。

 1990年代後半には旅行者が小笠原土産として買うようになった。

 「本土では売ってないんだよねー」。友人との飲み会でたまたまそんな話を耳にしたのが、松下さんとギョサンの出会いだ。

 紳士靴メーカーを退職し、家業を手伝うようになっていた20代も終わりのころだ。

最初は「便所サンダル?」

 興味をそそられ、奈良県にあ…

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