宇佐美泰重さん(55)は、茨城県日立市十王町にある県立国民宿舎「鵜(う)の岬」の支配人だ。国民宿舎の「宿泊利用率」で35年もの間、日本一であり続けている鵜の岬。かじ取りを任されて、もうすぐ10年になる。
日立市で生まれ育ち、土地開発の仕事をしたいと県開発公社に1987年に就職。県から指定管理を受けた鵜の岬に配属され、それから一度も転勤はない。40年近くに及び、「鵜の岬一筋」だ。
就職した時の支配人は、国の「観光カリスマ百選」にも選ばれた塙吉七(はなわきちしち)さん(75)だった。当時は平日には空室もあったが、リピーターがどんどん増えていた時期だった。
ピンチに掛かってきた電話 「今日は部屋、空いている?」
「塙さんは自費で全国の観光…