
雄大な太平洋に臨み、ホエールウォッチングの聖地とされる高知県黒潮町は、クジラとの遭遇率「約80%」をうたう。昨年、町民にとって深く心に残る出来事があった。
カギとなったのは「うんこ」だった。
「ずっとモヤモヤしてたので、これでスッキリしました」
ウォッチングガイドとして働く大迫綾美さん(31)は、独特の表現で一連の経過を振り返った。
町の沖合に広がる土佐湾では、1989年からホエールウォッチングが始まった。東京・小笠原に次いで全国で2番目に早い。毎年5月~10月には全国から多くの観光客が集まる。環境省などが主催するエコツーリズム大賞にも選ばれ、町は「クジラに逢(あ)える町」とアピールしている。
観光客の間近まで近づき、姿を現すクジラは、県水産試験場などの調査でニタリクジラとされてきた。
スラリとした優美な体つきと穏やかな性格から「海の貴婦人」とも呼ばれる、ヒゲクジラの一種だ。県と水産庁遠洋水産研究所(当時)などによる生態調査が実施されたこともある。
子どもたちは大笑い
ところが数年前から「カツオ…