現場へ! 家じまい(1)
重機のアーム先端で柱をはさんで倒し、外壁を内側へたたむ。散らばる木材をつまみあげ、次々とトラックへ。家の原形がみるみる姿を消す。
9月下旬、茨城県つくばみらい市の住宅団地。空き家の解体現場を訪れると、豪快で巧みな重機の動きとともに、意外に細かな分別の手作業をしていることに気づいた。廃材にからむコードを切り、トタンや金属片をはがして集める。2000年に建設リサイクル法ができて以降、木材やコンクリートの再資源化が進むためだ。
重機を操る横田登さん(61)は解体歴約25年。「空き家問題が注目されていて、最近は忙しいね」と話す。
木造平屋のこの家は、同県鹿嶋市に住む岩田きよさん(73)の義父が1人で住んでいたが、約30年前に亡くなり空き家となった。死去直後に家財だけは片づけたが、それ以来ほぼ手つかず。年に1度、草刈りを地元のシルバー人材センターへ頼む程度だった。
岩田さんが解体を決めたのは、乳がんが昨年見つかったためだ。「家の整理を子の代まで先送りしたくない」。その一心から動き出した。
まず市役所に電話すると、空…