ハバナの沖合で2022年12月、米国を目指して船に乗りキューバの警備隊に捕らえられる移民ら=AP

 カリブ海の社会主義国キューバで、過去最大規模の「亡命ラッシュ」が起きている。経済不況に加えてインフラの老朽化に伴う停電が頻発し、国民の暮らしが極度に悪くなっているためだ。直近の3年間で人口の1割にあたる100万人超が出国したとみられるが、政府は国内での異論封じ込めに躍起になっている。

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 「キューバでは大多数の人が貧困状態だ。私も死ぬ寸前だったと言っても過言ではない」

 米南部フロリダ州マイアミで暮らすフェデリコ・コスタさん(41)は、そう話した。妻子らと小型ボートで米国を目指し、沿岸警備隊に捕まることなく今年3月、「上陸」に成功した。

 首都ハバナでタクシー運転手をしていたコスタさんの平均月収は約5千キューバペソ(3万1千円)。だが、インフレの影響でガソリン代は10リットルで1500ペソもした。「稼ぎのほとんどが、ガソリン代と最低限の食費に消えた。いつも空腹だったし、子どもの未来に希望はなかった」

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