将来の人口減少にともない、医療需要の減少が見込まれることをふまえ、厚生労働省の専門家検討会は21日、2027年度の大学医学部の臨時定員を減らす方針を了承した。ただ、地方では若手医師の不足に悩む地域もあることから、大幅には減少しない見込みだ。
医学部の入学定員数は、医療の需要とのバランスを考慮して、国が決めている。1970年代からは大幅に増やし、80年代は毎年8千人ほどになった。
ただ、医師が都市部に集中する傾向が続いたことから、地域偏在が問題になった。卒業後に特定の地域や診療科で一定期間診療することを条件とした「地域枠」を導入する大学が増え、2008年度からは地域枠を大幅に拡充するために「臨時定員」が設けられた。
これによって、ここ数年は過去最大規模の9400人程度で推移し、臨時定員は約970人を占める。
ただ、国内はすでに人口減少の局面にある。仮に、医学部の入学定員を9300人程度に維持し、医師の時間外労働を年720時間とした場合、厚労省の推計では、32年ごろには医療の需要と供給が均衡する。
27年度入学の学生が医師になるころには、需要はピークを過ぎていることになる。
こうした背景も踏まえ、厚労省は定員数を見直していく構えだ。27年度の臨時定員は、25年度の臨時定員の975人以下とする案が浮上しており、どこまで減らすかは今後の議論になる。
臨時定員が急に減ると、地域によっては医師の確保に大きな影響が出る。例えば、24年度の福島県の定員は133人だが、そのうち47人が臨時定員で大きな割合を占める。
このため、厚労省の関係者は「一気に100人レベルで減るのは現実的ではない」と話し、臨時定員の削減幅は、全国で数十人程度におさまる可能性もある。
また、臨時定員の削減と並行…