絶滅した可能性のあるチョウ「オガサワラシジミ」について、飼育下の繁殖が途絶えた原因を兵庫県立大などのチームが解明した。12日、国際専門誌に掲載する。ごく限られた個体数で交配を重ねたことで、遺伝子の多様性が低下していたという。
オガサワラシジミは、小笠原諸島に固有の小型のチョウ。オスの成虫の羽は美しいコバルトブルーで、1969年に国の天然記念物に指定された。かつては島でよく見られるチョウだったが、外来種のトカゲ「グリーンアノール」による捕食などで80年代以降は激減。2020年を最後に、野外で目撃されていないという。
世代重ねるごとに繁殖うまくいかず
16年以降、多摩動物公園(東京都)などが、将来的に野外に放すことを目指し、人の管理下で繁殖させる「生息域外保全」に取り組んだ。だが、世代を重ねるごとに繁殖がうまくいかなくなり、20年にすべての個体が死んだ。
域外保全は交尾済みのメス2…